15 「裁判権が競合する場合」の規定
改定された日米行政協定第17条も、それを引き継いだ日米地位協定第17条も、在日米軍人・軍属らが犯罪を犯した場合、裁判権が米軍当局と日本国当局のどちらにあるのかを決めるために、3つに分けて規定を設けている。以下、その要旨を説明する。
1. | 米軍当局に専属的裁判権がある場合。 | ||||||||||||||||||||||
米国の法令では罰せられる犯罪だが、日本の法令では罰せられない行為に対して適用される。具体的には米国に対する反逆、妨害行為、諜報行為、公務上もしくは国防上の秘密に関する法令違反などである。 | |||||||||||||||||||||||
2. | 日本国当局に専属的裁判権がある場合。 | ||||||||||||||||||||||
日本の法令では罰せられる犯罪だが、米国の法令では罰せられない行為に対して適用される。具体的には日本国に対する反逆、妨害行為、諜報行為、公務上もしくは国防上の秘密に関する法令違反などである。 | |||||||||||||||||||||||
3. | 裁判権が競合する場合。 | ||||||||||||||||||||||
米国の法令でも日本の法令でも罰せられる犯罪(実際の在日米軍人・軍属らによる犯罪の大多数を占める)を在日米軍人・軍属が犯した場合、米軍当局と日本国当局の裁判権が競合するため、次のように原則を設けている。
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本連載では、在日米軍人・軍属による犯罪の大半が米軍人によってなされていることから、総称として「米兵犯罪」という言葉を使っている。
沖縄県や神奈川県をはじめ、全国で長年にわたり繰り返されてきた米兵犯罪の大多数は、上記の「3.裁判権が競合する場合」に当てはまる。
そして、米兵犯罪の起訴率が極めて低く、裁判を免れる者が多いという問題も、「3.裁判権が競合する場合」の規定と関係している。
つづく(文中敬称略)
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