自由な世の中でとびはねてみたい
キルスが韓国社会にあてた手紙
ぼくは15歳になるチャン・キルスといいます。
ぼくは咸鏡北道花台郡○○高等中学校に通っていましたが、あまりにひもじくて、生きる道を求め、1999年1月11日に、銃を携える国境警備隊の目を避けて、何日も食うや食わず、凍えながら、自由の地だという中国にやってきました。中国に来てみると、祖国(北朝鮮)と比べて食べ物はずっと豊富でしたが、自由な世の中ではありませんでした。ぼくは隠れるように暮らしています。一日が過ぎると、ああ、なんとか一日生き延びたと思うのです。中国に来てみても、望んでいた勉強もできないし、自由に外に出かけてとびはねることもできず、こそこそしなければなりません。
万一、どこかのだれかがぼくのことを知って密告したら、僕はつかまって、どうなってしまうかわかりません。今までたくさんの韓国人が僕たちに会いに来ました。しかし、「値打ちのある情報はあるのか? 大幹部でもしていて逃げてきたのか?」とたずね、「普通の庶民じゃダメだ」とお金を少し置いていっただけでした。等級の低い人間は、韓国に行けないんでしょうか? ぼくたちのような庶民は、どこに行って暮らせばいいんでしょうか?
中国では取りしまりが厳しく、毎日毎日、隠れていなければならないぼくたちは、いったいどこに行ったら生きていけるのでしょう? 韓国にいる皆さん、ぼくたちに愛情を寄せてください。自由な所に行って、思いきり勉強したり、走りまわったりしてみたいんです。
いったい誰がぼくたちを助けてくれるんでしょうか? それはいつの日のことなのでしょう?
ぼくたちは待ちつづけます。ぼくたちを救援してください。
1999年9月22日 中国にて
「涙で描いた祖国 ~ 北朝鮮難民少年チャン・キルスの手記」CD-ROM版(2001年刊)をウェブ用に再編集して掲載しています。(文中のデータ等は、2001年刊行当時のままとしています)
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