日米安保条約も、日米地位協定とその合意議事録も、日米安保・地位協定の実施に伴う刑事特別法も、その全文が公表されている。「合意事項」だけが公表されなくていいはずがない。日米地位協定が現場で具体的にどのように運用されているのか実態を知るためには、「合意事項」全文の公表は欠かせない。
「地位協定や国内法令に反するような事項は含まれていない」のは、政府間の正式な合意である以上、当然そうあるべきだ。しかし、だからといって、それが公表しないことの理由にはなりえない。本当に「地位協定や国内法令に反するような事項は含まれていない」のか、あらためて確認するためにも全文の公表が必要である。
「秘密協定」ではないというが、正式な「合意事項」全文と日本政府が公表した要旨「刑事裁判管轄権に関する事項」との間に、複数の重大な食い違いがあるのはどうしてだろうか。重要部分の欠落(削除)や書き替えは何のためにおこなわれたのだろうか。
国会図書館で部分的閲覧のできる『実務資料』複製では、この「(注4)」は法務省と外務省の処理によって黒く塗りつぶされている。日本国家の秘密主義の体質がそこにも色濃く表れている。
つづく(文中敬称略)
<<<連載・第24回 記事一覧 連載・第26回>>>
1 2