こいつらは明日銃殺だ
(文) チャン・キルス
いくら殴りつけても、白状させようとしても、同じ答えしか出てこないので、結局彼らは里(町、村)の安全部にぼくたちを移動させた。
そこでも同じであった。里安全部の安全員はぼくたちを一人ずつ違う部屋に閉じ込め尋問をした。
ぼくとミング兄さんは、互いに話のつじつまが合わなかった。ぼくが入れられた部屋の二つ離れた部屋で、別のだれかが尋問を受けていた。彼らの声が少しずつ聞こえてきた。ぼくはドアを少し開けて、ミング兄さんの声を聞こうとしてみた。
そうやって、ぼくたちは何とか互いに話を合わせながら尋問に答えた。
ところが今度は自白書を書けと言われた。
「正直に書くまでこの部屋に閉じ込める」
ぼくが今まで話したように自白書を書いたところ、安全員は書き直せといった。
「なぜ正直に書けと言っているのに嘘を書くんだ? ぶっ殺すぞ」
そう言うと、ぼくの急所を蹴り上げた。
「今日はここまでだ」
「明日、電話で確認して自白書が事実でなかったら、二人とも殺してやるからな」
もう、明け方の3時だった。
ぼくたちは午後4時に捕まったので、かれこれ11時間も眠ることもできず、苦役にさらされ、ひどい拷問まで受けたことになる。いっそ死んだ方がましだとさえ思った時もあった。
ぼくは今でもその時のことを考えると、身ぶるいがする。あの地獄のような所に、たとえ黄金があると言われても二度と行きたくない。
(つづく)
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