しばらくすると救護所教養指導員(注・救護所という名の少年収容施設がある)
がやって来た。取り締まり小組の安全員たちは救護所指導員に伝えた。
「こいつらは中国非公式訪問団です。救護所に連れて行ってください」
救護所指導員は靴ひもを二本取り出しぼくたちの手を縛った。
「靴を逆にはけ」
逃げられないようにするためであった。そしてぼくとミング兄さんの手首をいっしょに結びつけた。
それから指導員はベルトを外して声を荒げた。
「逃げ出そうとした奴は、これで殴られると思え」
「お前、何歳だ」
「15です」
その時であった。その指導員は何も言わずにベルトで殴りつけた。なぜ年齢をいつわるのかと言った。ミング兄さんは中国で何カ月間か生活しているうちに背が一回り大きくなっていた。ぼくも背がとても高くなり、彼らから見たら十五歳というのは信じられなかったのだろう。
「いいえ。本当です」
彼らは信じなかった。
「ガキども! 今はベルトだが、救護所に行ったら棍棒で殴られると思っとけ」
(つづく)
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