救護所に入れられて
(文) チャン・キルス

高圧電流が流れる電気鉄道 「アイグー、死ぬところだった」 屋根の上まで人でいっぱいです。客車の中は超満員です。屋根の上で高圧線に頭が触れて感電死するのは、よくある光景でした。 ―ハンギル(キルスの兄)
高圧電流が流れる電気鉄道
「アイグー、死ぬところだった」
屋根の上まで人でいっぱいです。客車の中は超満員です。屋根の上で高圧線に頭が触れて感電死するのは、よくある光景でした。 ―ハンギル(キルスの兄)

 

救護所に移されたぼくたちは、まず薪割りをさせられた。懸命に薪を割っていると、経理員のおばさんが、おいでと手招きをした。ぼくをじろりと見つめると「お前、前にもここに送られてきた子だね」と言うのである。

ぼくが人違いだと言うと、そのおばさんは、自分は記憶力がいいから一度見たら忘れないと言うのだ。彼女は、確かにぼくを見た記憶があると言い、家はどこだと尋ねた。ぼくは嘘をついた。ぼくがのらりくらりと話しているとそれ以上はきかなかった。

事実、ぼくは一カ月前にここに入れられていたことがあった。北朝鮮では満17歳から成人とみなされ、中国に越境してつかまった者のうち、成人は道集結所に送られ、17歳以下は救護所に引き渡す。

安全員たちは、ぼくたちが年をごまかしていると、何度も問いただしたが、ぼくたちは正直に話した。彼らは年数が17歳以上であったら道集結所に送り、手柄を立てようとしたのである。

ぼくたちが薪割りを続けていたところ、経理員のおばさんに呼びつけられた。
ぼくたちは7、8歳の小さな子どもたちといっしょに列に並ばされた。
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