脱出だけが生きる方法
(文) チャン・キルス
体中がパンパンにふくれ上がり、血まみれになってぴくぴくと震え出すと、指導員はぼくに、「また逃げ出すのか。もう一度逃げ出したら足一本を折ってやるぞ」といった。
ぼくはとてもやるせなくなり、ぼくを産んだ両親を恨んだ。子どもを産んで責任も取れないのになんのために産んだのか、と。いっそこの世に生まれてこなかったら、血の涙で汚れたこんな「死の世界」を見ることもなく、こんな苦しみを味あわずにすんだのに......。
責任指導員は殴るのに疲れて、ぼくを救護所の横の水田に連れて行った。そして流れている水で顔を洗わせようとした。ぼくはフラフラとしながらも顔を洗おうとしたが、手があまりに痛く、足もひどくはれ上がっていて、腰を降ろすこともできなかった。腕と足を曲げられないと言った。
「こいつ、それしきのことで、仮病を使うのか。もっと殴られたいのか?」
彼はそう言って、無理に右腕を強く折り曲げさせ、靴をはいた足でぼくの頭を蹴とばした。ぼくは前に倒れ込んでしまった。
ずいぶんしてから、あぜを支えにしてなんとか起き上がった。流れる水はまたたく間に真っ赤に染まった。
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