賄賂で抜け出す
(文) チャン・キルス
9・27部隊まで連れて行かれたが、すでに賄賂をわたしていたので、ぼくはそこからいち早く抜けることができた。
「今度またつかまえたら将軍様の方針通り、教化所に送るからな」
そう脅しつけてから、彼らはぼくを放免した。「お金をわたして出て来たということをだれにも言うな」と言うのを彼らは忘れなかった。
翌日、伯父さんのことをよく知っているという人と、偶然、道で出会った。
その人は、中国にいっしょに行くという人を紹介してやると言った。
「ぼくは中国がどこにあるのかもよく知りませんよ」
「お前のおじさんにすべて聞いたよ」
彼は中国に持って行けば売れる骨董品があると言った。それも、とてもたくさんの量だと言った。それでぼくは彼の言葉を信じ、いっしょに行動することにした。
中国に行く日になって、ぼくはその人の家に寄ってみた。アパートの四階だった。ぼくは、中国にいっしょに行くという人が、なぜ現れないのかと尋ねた。
すると彼は、「後でことが発覚しても大丈夫なように顔は見せないで、部屋の中でぼくの話を聞くことにした」ということであった。
ぼくはその言葉を信じて、中国での話を事実どおりに話した。中国から戻った時、お金はいくら持ってきたのか、いつ中国に行ったのか、どれくらい中国にいたのかということまですべて話してしまった。
(つづく)
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