UNHCR事務所への駆け込み直後、応接室で待機するキルス一家7人。 (撮影:石丸次郎)
UNHCR事務所への駆け込み直後、応接室で待機するキルス一家7人。
(撮影:石丸次郎)

 

エレベーターで1階に降りると、驚いたことに既にテレビカメラが5、6台、記者が20人ほど詰めかけていた。日本、韓国の支援団体がうまくメデイアに連絡を付けてくれたようだ。

私がUNHCR事務所にいた時間は30分弱。その間に共同通信、CNN、ロイター、AP、朝鮮日報などが素早く現場に駆けつけていた。さらに、続々と記者が集まり、しばらくすると50人をゆうに超える各国の記者たちがエレベータホールにあふれた。私は準備していた7人の写真を各メディアに提供し、UNHCR事務所内部の様子を説明した。

エレベーターホールで一時間ほど待機していると、今度は中国の公安とおぼしき目つきの良くない私服の男たちが数人徘徊し始めた。
中に残っているNGOのメンバーは、このままでは特定されて拘束されかねない。私は携帯電話でUNHCR事務所にいる文氏に電話を入れ、そろそろ潮時だと思うと伝えた。

午後2時前、文氏と支援団体のメンバーは「昼食を食べてくる」と言い残して事務所を離れ、メディアと公安に包囲されたビルからうまく抜け出した。
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