咸興の工場再稼動で咸鏡南道の電車運行が混乱
電気供給の混乱から列車の運行が乱れ、召集に応じて軍に入隊するために旅立つ青年たちと、見送るために集まった親たちが足止めされていると、5月6日、北朝鮮内部咸鏡北道のイム通信員が伝えてきた。電力不足により咸鏡南道の汝海津(ニョヘジン)と舞鶴(ムハク)を結ぶ咸南線の運行ダイヤが大幅に乱れ、ほとんど止まっている状態だという。

通信員によると、この原因は「今年3月に再稼動を始めた咸興市にあるビナロン工場を全力で稼動させようとして、列車の運行に必要な電力までも投入しているため」だという。また「旅客車と同様に貨物車の運行にも支障が出ているため、流通にも混乱が起きている」という。

咸興市にあるビナロン工場は正式名を「2・8ビナロン連合企業所」といい、年産5万トンを誇る大規模な工場として、1961年に操業が開始された。その後、電力不足や資材不足、そして施設の老朽化により1994年に操業が停止した。再稼動のための工事が始められたのは2008年、それから2年後の去る3月、16年ぶりに操業が再開された。その際には大々的な祝賀行事が催され、10万の群集を前に金正日総書記が姿を現し、この企業所が、低迷する北朝鮮経済回復のシンボルであることが、朝鮮中央通信などのメディアで宣伝された。

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5月15日付けの朝鮮総連の機関紙「朝鮮日報」でも「"2・8ビナロン"製品生産正常化、褐炭ガス化施設も建設」と写真入りの記事が掲載された。記事によると2・8ビナロン工場で生産される苛性ソーダや塩化ビニールなどが全国に供給されると、これまで輸入に頼らざるを得なかった材料を国産品で代替することになり物価が下がる、としている。
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