住民の反応「怒り、あきらめ、心配」
天安艦沈没を北朝鮮の仕業とする韓国と、「でっちあげ」と反駁する北朝鮮との間で双方が相次いで強硬措置を発表する中、北朝鮮内部で緊張が高まっている様子をイム・チョミ通信員が27日、伝えてきた。

ハムギョン北道に住むイム通信員によると、居住する地区の部隊では、三日前から兵士に対し休暇を禁止する措置が取られており、兵士たちは禁足令が出ている模様だという。

また、兵士に実弾が配られたという噂が広まっており、部隊では戦争の準備とも受け止められるような動きが活発化しているという。このような軍の緊張した様子を住民たちも敏感に感じ取っており、人々が三々五々集まっては、戦争勃発の可能性や今後の政局について語り合うなど、落ち着かない様子だとのことだ。

訓練を受ける国境警備隊の軍人たち。2003年9月、両江道恵山市を中国側から撮影。 撮影:石丸次郎 cアジアプレス、石丸次郎
訓練を受ける国境警備隊の軍人たち。2003年9月、両江道恵山市を中国側から撮影。 撮影:石丸次郎 cアジアプレス、石丸次郎

 

特に26日午後9時、「朝鮮中央テレビ」で「重大放送」として報道された『南側との問題解決にあたっては今後、全て戦時法を適用することにする』との布告が、住民たちに与えた衝撃は大きかったとした。ニュースに接した人々は「自分の国の国民ですら平気で騙す奴等(権力者を指す)なのだから、(天安艦攻撃を)やってないという話が本当な訳ないだろう」と、韓国をはじめ国際社会を相手に、戦争をちらつかせ開き直る政府に対する怒りを隠そうとしないという。

さらに、「どうせ戦争になるなら、あいつら(権力者)から始まって、世にはびこるオオカミやキツネのように悪賢い連中は、皆焼け死んじまえばいいんだ。われわれはこんな生活もうまっぴらだ」、「庶民のサイフから金を奪った(昨年11月のデノミ措置を指す)だけに飽きたらず、今度は同じ民族同士で殺し合いをしようとするのか」と、支配層を露骨に批判しつつも、諦めともつかない、やるせない気持ちで過ごす人々の様子を伝えて来ている。

一方で、韓国に対する宣戦布告とも受け取られかねない北朝鮮政府の「戦時法適用」の発表によって、実際に戦争が起きるのではないかと心配する人の声も多いという。イム通信員自身もアジアプレスとの通話の中で、戦争が起こるのではないか心配だと繰り返しており、北朝鮮内部で緊張が高まっている様子が伺うかがえる。

なお、北朝鮮はこれに先立つ25日の夜、祖国平和統一委員会の代理人談話を発表し、以下の措置を実施することを韓国に対し通告している。
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