特にコメを持っている人は、どんどん値上がりするのが目に見えていたためでしょう、慌てず自信満々といった感じでした。でもこのように庶民の関心が最も高いコメの供給が先細る中で、ジャンマダンは自然と開かれなくなりました。その後は、人々が個別にコメを売る人の所を訪ねていくようになりました。

Q:その後ジャンマダンには行ってみましたか?
ウ:はい。それからしばらくして、新しい紙幣が出た後にジャンマダンに行ってみました。貨幣が変わったからコメの値段も下がっているだろうと思ったんです。

ところがコメの値段は少しずつ上がっていくでしょう。そうなるとすぐに買わないといけません。ですが多くの人はコメを買ったものの、市場が止まっているため、収入がありません。

その後、配慮金五〇〇ウォンが配られたのですが、その時にはもう、流通が止まっているということは周知の事実になっていました。それでも人間は食べなければいけません。でも食べてしまえば終わり。結局、庶民は少ない配慮金で食べつないでいくことになったのです。

Q:周囲の人々はどんな様子でしたか?
ウ:絶望です。もし社会を平等にするというなら国が配給を保障してくれなければいけないのに、それが出なかったんですから。それなら、貧しい人はお金のある人にくっついて、どんな仕事をしてでも生きていかなければならないのに、金持ちは自分のお金の算段で手一杯で、それどころではなくなった。

結果的にぴたっと皆の収入が途絶えてしまいました。そうなるともう絶望です。どこにも食べるものはないですし......。今、民衆はどうやって食べて生きて行っているのか、中国に出国した私には見当もつきません。
(つづく)

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