Q:金正日時代になって一五年が経ちました。この一五年をどう総括しますか? 成功ですか失敗ですか?
ウ:失敗ですよ、結局! 庶民たちはありとあらゆることを(金正日時代に)経験しました。私も大学で社会主義経済について学びましたから、経済危機というのは普通は一〇年くらいだと思っていました。
ですので(九〇年代飢饉の)初めのうちは、経済危機というのがどういうものなのか、それでも見守っていれば答が出ると思っていたのです。ところが苦難の行軍(九〇年代飢饉)からもう一〇年以上が経ったのに、何にも変わっていないんですよ。
Q:ずっと待ち続けていたんですね。
ウ:そうですよ。今でも待ち続けていますよ、朝鮮の人々は。苦難の行軍は本当に大変でした。私たちは、「いつか苦難の行軍の時を振り返って笑える時が来るだろう」、「今は困難を克服してやっていこう」と言われて来たのに、一〇年という月日はあっという間に過ぎてしまいました。
二〇〇〇年には「二〇〇三年になればいい世の中になる」とどれだけ宣伝されたことでしょう? それで二〇〇三年までは我慢しようと。でも、二〇〇三年が来ても何の変化も無く、そして去年も、一昨年もそうでした。
Q:二〇一二年になれば強盛大国の大門が開くと言っていますね。
ウ:今では皆、騙されるだけ騙されて来たので、もうそんな言葉を信じる人はいませんよ。皆、自分の力だけを信じるようになっています。
今でも朝鮮では、こんな講演をし続けているんですよ。「二〇一二年まで耐えてみよう、これまで一〇年間も耐えてきたのに、もう何年耐えられないはずがないだろう」と。「おかゆを食べてでも耐え、やる仕事はやっていこう」と言うんです。今、ここ中国に来て朝鮮の暮らしを振り返ると、われわれ朝鮮人の生活はあまりにひどすぎます。
(このインタビュー、終わり)
注1 小都市で仕入れた品物を地方の農村などに運び販売することで、利益を得る仕事を指す。苦労のわりには実入りが少ない。タルリギとは朝鮮語で「走り」の意。
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