これに加え、〇九年に行った二回目の核実験に対する国連安全保障理事会決議による 制裁によって、武器輸出にも大きな支障が出ている模様だ。
〇九年に入ってから北朝鮮国内の「景気悪化」は深刻であった。上記のような外部環境の悪化に加えて、市場統制を強めたため、より一層、金の循環が悪くなっ た。本来なら景気刺激策を実施しなければならないのに逆のことをしてしまったわけだ。
国民の購買力が極端に落ち、コメの値段をはじめ物価が下がるという 「デフレ」のような現象さえ起こっていたのだ。キム・ドンチョルはじめ北朝鮮内部の取材パートナーたちからは、特権層や幹部たちの金回りが非常に悪くなっ た、電気の供給がさらに大幅に悪化した、街中に目に見えてコチェビ(ホームレス)が増えた、市場での商売がうまくいかない、といった経済悪化に関する報告 がたくさん届いた。
金回りの悪くなった国家権力と支配層とその周辺が、ついに国民の財産の強奪を企み、デノミという禁じ手を使ったのだと筆者は見ている。そうでなければ、一 〇万ウォンという交換限度額や、一週間という短い交換期限を定める理由が見当たらない。
『朝鮮新報』の記事にあるように、デノミの目的が「人民の利益を擁 護して、彼らの生活を安定、向上させることにある」のであれば、なせそのような制限が必要なのか。一〇万ウォン以上の旧ウォンの価値は無効になるため、実 質的に国家によって没収されたのである。
(つづく)
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