北朝鮮の庶民の主食はトウモロコシ。そのトウモロコシの発育が各地でかんばしくないと、六月に入って北朝鮮内部の通信員たちが伝えてきている。
北朝鮮北部の咸鏡北道に住むイム・チョミ通信員によると、北部の両江道の大紅端(テボンダン)地区の多くの農場では、肥料不足のために発芽したトウモロコシの発育が悪く、さらに5月に入ってからの雨不足で枯死してしまった苗が多いのだという。農場員たちは口々に「一体今年の収穫はどうなるんだ」と不安を隠さないという。
北朝鮮では肥料を混ぜた土を団子状にしたものにトウモロコシの種を植え、発育を早める「栄養団地」を4月中旬から一斉に作る。
中部の平安南道に住む「リムジンガン」の記者キム・ドンチョル氏によると、この「栄養団地」や植えたばかりのジャガイモの種イモが掘り返されたり、覆いのビニールまで盗まれる事件が続発しているという。
「現金がなくて食糧を入手できない人々が飢えをしのぐ最後の手段として、トウモロコシの「栄養団地」やじゃがいもの種イモを盗む「種泥棒」は、90年代の飢饉の折によくあった。今年になってまた「種泥棒」が頻発しているのは、昨年のデノミ措置(通貨ウォンを100分の1に切り下げ)以降の混乱で、貧困層が急増したからだ」とキム記者は説明する。
まだ今年の農作業は始まったばかりであるが、トウモロコシの生産量は、不作だった昨年をさらに下回るのではないかと予測する声が農場では早くも聞かれると言う。(李鎮洙)
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