コンビナート内の空き地にはトウモロコシと稲がびっしりと植えられている。個人が遊休地を勝手に耕作している程度ではなく、組織的に農業が運営されていると思われる。

ビナロンとは何か
1939年、京都帝国大学の研究者たちによって開発された化学繊維。ナイロンに次いで世界で二番目に開発された化学繊維である。この開発者の中に、後に北朝鮮で最も有名な科学者の一人になる李升基(リ・スンギ)博士がいた。日本ではビニロン(Vinylon)と表記するが、本稿では北朝鮮での発音により近い「ビナロン」という言葉を使うことにする。

ビナロン工場を視察する金正日総書記

 

摩擦や薬品に強い耐性を持ち、現在では産業用資材としてフィルム、繊維補強セメントなどの原料として重宝されている。北朝鮮では60~70年代に「自前の資源と技術で作られる『チュチェ繊維』」「国の繊維問題が解決する」ともてはやされたが、ごわごわして衣服の材料には不適で、作業服に使用されるぐらいである。

(つづく)

スクープ! 廃墟となった 巨大コンビナートを撮影 1
スクープ! 廃墟となった 巨大コンビナートを撮影 3
スクープ! 廃墟となった 巨大コンビナートを撮影 4

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