学校と生徒の間で板ばさみの教師たち 1
取材 リ・ジュン
これまでリムジンガンでは、経済破綻とモラル低下によって、完全に有名無実となってしまった北朝鮮の無償教育制度の現状について報告した。子供を持つ家庭が、教師や学校、少年団、ひいては国防委員会にまで金品をたかられ、生徒たちが勤労奉仕に動員させられる日常の中で、学校は学び舎としての役割を失いつつあるのであった。
今回は角度を変えて、教師の立場から教育の現場を見てみることにする。生徒に対する愛情や自らの職業意識と、学校からのノルマとの板ばさみになり、多大なストレスを受けている教師の姿からは、教育の現場が八方塞がりになっていることが見えてくる。
今回の取材は本紙記者リ・ジュンによるもので、二〇〇六年に咸鏡北道のとある地域で、学校の運営に不満を抱いて自ら学校に出向いたときの様子を撮影したものを、編集部で再構成した。ある学校に転校した人民学校(注1)四年生の甥ミョンチョルに机が与えられず、加えてクラスメートから「自分の机は自分で準備しろ」と言われたと聞いて腹を立てたリ・ジュンは、自ら学校に乗り込んだ。が、話はいつしか教師の苦境へと進んでいく。ミョンチョルの担任の教師は四〇代前半の女性である。次のページ:机も椅子もない!...