昨年11月の「貨幣交換(デノミネーション=通貨単位の切り下げ)」以降、ジャンマダン(市場)でのモノと金の流通が縮小し、商売を中心に生計を立てていた北朝鮮の人々は大きな打撃を受けている。現金収入が大幅に減る中、今夏の穀物価格の急上昇は、さらなる生活の圧迫となるだろう。
北朝鮮では6月末からジャガイモが収穫され、「ポリコゲ」と呼ばれる春窮期を脱しつつあるものの、依然として厳しい食糧事情が続いている。イム通信員によると、茂山郡ではトウモロコシのお粥でなんとか食いつなぐ人々の割合が多く、ジャンマダンにはコチェビと呼ばれる浮浪者が増え、正視できない光景が広がっていたという。
北朝鮮内部情報誌『リムジンガン』の記者として、北朝鮮内部での取材を続ける金東哲(キム・ドンチョル)も、北朝鮮の庶民が何よりも望んでいるのは物価と外貨レートのの安定だと強調する。
北朝鮮の市場における食糧価格の急騰の原因は、様々に考えられる。まずは供給量の不足が推測されるし、中国からの輸入される割合が高いため、中国元レートの動向も影響が大きい点も挙げられる。さらに、食糧を市場に卸売りしている業者(権力周辺の者が多い)が、買占め、売り惜しみをすることで市場価格をつり上げることも少なくない。
北朝鮮では今後、8月にトウモロコシが、11月にはコメが市場に出回ることになる。食糧価格の急騰は社会不安を招きかねない。人々の生活と密接に関わる食糧の価格推移を引き続き報告していきたい。(李鎮洙)
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