かつて脱北難民が身を隠すことができた「人民の海」は、すっかり小さくなってしまったのだ。
ところが一方で、韓国・日本入りする脱北者の数は増え続けている。韓国統一部によると昨年は過去最高の約3000人の脱北者が韓国に入り、累計で1万9000人を超えた。
日本にも、推定だが累計約200人が入国、03年には30人程度だったので７倍近くに増えたことになる。
北朝鮮からの脱出が非常に困難になっているにもかかわらず、韓国や日本入りする脱北者が増えているのは、最初から目的地を韓国などに決め、計画的に北朝鮮を脱出する傾向が強くなっているからだ。
先に韓国や日本に入った脱北者が、ブローカーに金を払って北朝鮮に残る家族を脱出させているのだ。
今や中国は脱出先ではなく、韓国等への送還を認めているタイやモンゴルに密出国するための経由地になっている。
結局今回の取材では、非合法に国境の川を越えてきた人たち会えたのは５人にとどまった。
悲しいかな、もはや金がない人は脱北もできなくなってしまったのである。
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