「そりゃ、当然だろ。分からないのかい? 中国は主張しているだろう。『チベット(自治区)は中国固有の領土だ』と。もしそこにチベットの人が住んでいることになると、しかもそれが一つの村じゃなく、複数のチベットの村があるんだよ、そうすると、そこもチベット自治区の一部だと言うこともできるんじゃないか。もしかしたら国境線が変わってしまうかも」
ビルマ人の知人はそう説明してくれた。まさか、今の時代になって、国境線が変わるなんて。いや、もしかしたら、事実があまり公にならない、山奥の、「辺境」の中国とビルマ国境ならあり得るかも知れない。
テットンさんによると、中国とビルマの国境は、1968年に確定したそうだ。中国南部と北方ビルマの間で、北東の端は麻薬で悪名をとどろかしたビルマ・タイ・ラオスの3カ国が接する「ゴールデントライアングル」から、北西の端はインドが国境を接するまでの、計138カ所に基準点を定めて国境を決めたという。ちなみにタフンダン村は、ビルマと中国を分かつ第43番目の国境地点の南方に位置する。
つづく
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