国境地帯で鉄鉱運搬専用鉄道を建設中
中国政府主導による北朝鮮の茂山鉱山開発が着々と進んでいる。鉄鉱粉を満載した赤い25トン重ダンプトラックが、毎日両国の国境を行き来している。中国は昨年8月、吉林省延辺朝鮮族自治州の和龍市内と南坪鎮を結ぶ鉄道「和坪鉄路」敷設工事を開始。
2003年に茂山鉱山への投資を開始して以降、ダンプのみで年間100万トン以上に上る鉄鉱粉を輸送していた中国が、いよいよ大量輸送に乗り出す構えだ。中国のこうした「本気度」がうかがえる背景は何か。7月、アジアプレス取材班が現場を訪れた際の様子を交えて紹介する。
(1)急ピッチで進む鉄道工事
南坪(ナムピョン)鎮。延辺朝鮮族自治州を構成する市区の一つ、和龍市に属し、豆満江を挟んで、すぐ対岸に咸鏡北道茂山郡を臨む。トウモロコシやタバコの畑が山間に広がるこの辺境の村に、不釣合いなほど大きい工場がある。北朝鮮の茂山鉱山から運ばれてきた鉄鉱粉を、さらに純度の高いものへと加工する「選鉱場」がそれだ。
この選鉱工場の前で今、急ピッチで進められているのが「和坪鉄路」建設工事だ。「和坪鉄路」とは、和龍市の「和」と南坪鎮の「坪」と取ってつけられたその名の通り、和龍市から南坪鎮までの41.68kmを結ぶ鉄道を指す。吉林省が11.9億元(約153億円)の予算を出している。途中、山が多く、総区間の36%がトンネルだ。工期は2年を予定しており、2011年には完成する見通しだとのこと。(2009年8月7日付け吉林日報)
アジアプレス取材班が訪れた7月上旬は、中国でもまれに見る猛暑が続いていたが、和龍市から南坪鎮へと向かうあちこちで鉄道建設工事が急ピッチで進められていた。(つづく)