インタビュー:甑山(ジュンサン)教化所から出所した女性 2
聞き手 シム・ウィチョン
入所
シム:甑山郡は、朝鮮では囚人罪人が最も多く集められる郡だと言われます。その甑山に入れられた後、一番強く印象に残ったことは何ですか?
B:甑山に連れて来られて教化所の前に立って見たら、映画で見たように、日本がわが国の革命家たちを監獄に入れる時、鉄門が開かれると銃を持って警備している姿とそっくりだなと思いました。門から入ったら、高い鉄条網の上の二階に歩哨が立っているんですが、それが若い女で軍服を着て高慢に見下ろしているんです、銃をもって。鉄門の中に入ると一番最初に目につくのが壁に書かれた黒い文字。何と書かれているかというと「逃走は捕まる」でした。
シム:逃げても無駄だと。
B:はい。そして、反対側に膝を抱いて座っている人たちがいました。それから新しく入ってきた人たちが荷物検査を受けていました。広場では大勢の人が集団行動していたんですが、それが生きている人間なのか、それとも人の形をした機械なのか見紛いました。
そう、まるで機械のように見えたんです。肉がなく骨ばっていて、骨が動いているみたいでした。骸骨です、一言でいうと。本当に痛々しくて目を開けて見てられないぐらいなんです。見た目は女なのか男なのか区別がつかないし、服も破れていてあまりにもみずぼらしい。顔と手足は真っ黒で、まるで獣のようで、本当に人間のようには見えなかったんです。でも獣には肉がついているではないですか。その人たちはまるで機械、肉のない機械のようでした。
人の頭が全部真っ白なのにもびっくりしました。教化生たち(教化刑で収監されている管理課の人たちをこう呼ぶ)は、おばさんたちも若い女性も皆が白いタオルを(頭に)かぶってます。このようにして鍛練生と教化生たちと区別がつくようにしてるんです(鍛錬生の収監者は白タオルをかぶらないという)。女たちもすべて髪を男のように短く刈ります。今の世の中は、女たちが生活のために働いているので、(捕まるのも)男より女の方が多いようです。
シム:教化所へは毎日入所してきますか? また全国各地から送られてきますか?
B:全国から入って来てましたね。北の方からも南の方からも。私が見ただけでも、だいたい一日に二〇人ぐらいが入って来ていました。毎日ですよ、毎日。何の犯罪がそんなに多くてこんなに来るのかというぐらい。一日ももれなく入ってきます。教化所の中は、それは数え切れないぐらいの人です。すごい数ですよ。
シム:甑山教化所には相当な数の人がいるようですね。
B:とにかく甑山に入ると、(あまりに人が多くて)朝鮮の人が皆連れて来られているんではないか、朝鮮人が丸ごと全員罪人になったのかという気がしたほどです。白いタオルを頭にした人たちがびっしり。
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