面会・食事
シム:面会に来る人たちが持ってくる差し入れの食べ物は、ちゃんと受け取れますか。
B:とんでもない。面会の日は決まっていて、持ってくるのは食べ物ばかりだけれど、差し入れできるものは限られています。トウモロコシ粉を炒めた粉とか。

シム:食事は何が出ますか?
B:トウモロコシの粒をそのままゆがいて作ったチブケ飯と呼ばれるもの(型で作ったご飯の塊、〈団地飯〉と呼ばれている)をこぶしぐらいのを一つくれます。

シム:一食にひとつ?
B:そう一つです。そんなものではすぐ栄養失調になりますよ。教化所の中では油も唐辛子も食べられないから、面会に家族が来ると、炒めたトウガラシ粉、化学調味料、白糖を混ぜて、一日に一袋ずつ食べるように小分けして中に入れることができるんですが、差し入れようとするとすべて開封して検査して、受け渡しの手数料として金を出せと言われるんです。
◎   ◎   ◎
シム:甑山教化所から出所して、どんなことを考えましたか?
B:そうですね。いろいろ思いがありましたね。わが国にある教化所、こんなものは丸ごとすべてなくさねばならないというのが私の願いです。ここに一〇人座っているとしたら、罰せられたことも鍛錬隊生活もしたことがないのは、一人か二人ぐらいしかいないでしょう? 人権に少し知識のある人たち皆が、朝鮮に焦点を合わせて、あのような教化所や鍛練隊のような統制機構をなくすために努力してくれれば......。

シム:それがあなたが世界に言いたいことですね。
B:はい。全世界に呼びかけたいです。一度ああいう所(拘置施設)に入れられて、あれだけひどい目に遭わされると、誰もが恨みを抱くようになります。心に毒を抱くようになるんです。そんな社会には金輪際生きたくない、生まれ変わってもこの朝鮮では暮らしたくない、そんな気持ちになります。今、私もこれからもこの朝鮮の社会で暮らしたい気持ちなんて鼻クソぐらいもありません。

シム:しかし、今でもそんなに顔が浮腫んでいては外出もできないのでは?
B:六ヶ月間治療を受けましたが、いまだに体が良くならなくて......。

シム:とにかく生きるために体を治すべきですよ。
B:はい。ありがとうございます。
(このインタビュー、おわり)
整理 石丸次郎
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