トウモロコシ農場で働く農民たち。トウモロコシの合間に豆を植えている最中だという。今年の分配はあったかとの金東哲記者の問いに「あげたくても作物が無くてあげられないとのことです」と答えた。2010年6月 撮影:金東哲 ©アジアプレス
トウモロコシ農場で働く農民たち。トウモロコシの合間に豆を植えている最中だという。今年の分配はあったかとの金東哲記者の問いに「あげたくても作物が無くてあげられないとのことです」と答えた。2010年6月 撮影:金東哲 ©アジアプレス

 

「もう騙されない」が世論になった
問:そんな中で三代続けて世襲をしようとしている金正日について人々はどう考えていますか
答:体制を変えようとせず、権力世襲にこだわる理由について、人々はもう知っていますよ。体制を変えるということは「改革・開放」をするということですから、そうすると、(人民は)金正日の体制を激しく攻撃するようになるでしょう。それは歴史が証明している通りです。

1990年代から、「今は『苦難の行軍」」だがもうすぐ良くなる」と繰り返して来ましたが、一向に暮らしは良くならないから、最近は、「われわれの世代はずっと苦労ばかりする覚悟を持たなければならない。

だがその苦労の先に、後世が幸せになるだろう」といっている。でも、いったい後世とはいつなんでしょう?(金正日は)「今日のために今日を生きず、明日のために今日を生きろ、今日苦労することをまず私自身が覚悟する」なんて嘘を並べています。口では何とでも言えますからね。

金正日の最後の嘘が「2012年には強盛大国を建設する」というものでしょう。強盛大国というのは、誰もがきちんと食べ、楽しく暮らし、羨むものが無い社会でしょう。でも、今まさに農民たちには食べるものが無いんですよ。ハエ叩きをいくつかつなげてガーゼのようなものをかぶせて、地面に落ちた穀物の皮をすくって食べている農民の姿を見ると...。

李さんの話はとめどなく続いていく。「生き延びる」という信念の下、歯をくいしばって生きてきた北朝鮮の農民たち。現体制の制度疲労は限界に達しているように思える。次回は金正日政権について、今後の社会の展望をまとめる。(つづく)(整理:李鎮洙)
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