「外貨使用禁止?ならドルは孫が使えばいい!」
問:貨幣交換によって北朝鮮全土をおおった経済難、生活苦の責任を取り、朴南基(パク・ナムギ、朝鮮労働党計画財政部長)が処刑されたと言われていますが。
答:国家も驚いたのですよ。国について来させようと貨幣交換を始めたのに、する前よりも人々が離れていくわけですから。それで慌てて誰かに責任を取らせることになり、(財政部長の)朴南基が生け贄になったというわけです。
でもですよ、金正日がこうなることを知らなかったはずがないでしょう。朴南基が一人でやった訳でもないでしょうし。それでも、「あの聡明な将軍様が、貨幣交換をはじめる前にはこうなると思わなかった」とは言えませんから。金正日からすれば、おそらく、貨幣交換措置は上手くいけば儲けもの、という程度の感じだったのでしょう。
問:なるほど
答:それでも人民たちはたいしたもので、国が「持っている外貨を出せ、使ったら死刑だ」という布告文をあちこちに貼り出しても、まったく涼しい顔ですから。「私が使えなくても、私の子どものためにとっておくし、子どもがだめなら孫のためにとっておくよ!」と言うんですよ。「アメリカが無くならない限り、ドルも無くならないだろうからね」ともね。
聞こえようによっては、いつか北朝鮮という国の生活が、どうにかして良くなるとでも言わんんばかりの表現でしょう? ですが...私はそうは思いません。いったい何をもって、北朝鮮の社会が豊かになるというのでしょうか?大体なぜ、北朝鮮の人々の暮らしは良くならないのですか?
李さんは北朝鮮の人々の想いを、熱を込めて代弁する。貨幣交換は党に頼らず自力で生きてきた人たちを、より一層党から離れさせる結果をもたらしたようだ。(つづく)(整理/李鎮洙)