彼女は、まるで男たちを率いるかのように、あるいは、男たちが彼女を守っているかのように、最前列の真ん中にいる。
写真に写った、たった一人の女性の名前はウマ・ブジェル。党名を「シルー」という。マオイストが人民戦争を開始した当初から、武装勢力のメンバーとして活動をした数少ない女性ゲリラである。1996年2月13日、人民戦争の初日の襲撃に参加した8人の女性の一人でもある。
このとき、彼女は16歳の学生だった。
シルーはその数年後、警察に逮捕されて拷問を受け、そして刑務所に投獄された。その17か月後、仲間の女性マオイストと刑務所を脱獄し、ネパール人女性の勇気と行動力を証明した稀有な出来事として、人民戦争の歴史に記されることになった。
武装ゲリラとして何度も危険な目に遭いながら、その後の歴史的な変化を目にすることができたシルーは、きわめて幸運だったといえる。なぜなら、写真に写っている男性ゲリラの大半は、この写真を撮ったあと、治安部隊に捕まったり、あるいは戦闘でこの世を去っているからである。
そのなかにはシルーの夫であるビムセン・ポカレルも含まれる。写真に写っている17人のうち生き残ったのは、シルーを含めた2人だけだった。
これから記すのは、女であるがゆえにマオイストとなり、武器を持ち、そして、男と同様に、いや、男以上に苦労をして人民戦争を戦い、そして生きたネパールの女性たちの話である。
(つづく)
【連載】 ネパール マオイスト・女性ゲリラたちの肖像