ロルパ郡ガルティガウン村で、大麻の茎から糸を作るマガールの女性。(撮影:小倉清子)
ロルパ郡ガルティガウン村で、大麻の茎から糸を作るマガールの女性。(撮影:小倉清子)

ウシャは陸上などのスポーツでも、子供のころから頭角を現していた。ロルパのマガール族の女性は、バフンやチェトリと言った保守的な高位カーストに属する女性に比べると、確かにより自由を謳歌していたが、それでも男性と平等ではなかった。

「女性はしてはいけない」と禁じられた事柄が数多くあるが、ウシャはこれまでの人生でそうした慣習を打ち破る行為をたくさん行ってきた。クラスで"ただ一人の女生徒"であるにもかかわらず、勉強でもスポーツでも男には負けない自信がそうさせたのかもしれない。

ウシャは10歳のときに、すでに村の慣習を破っている。村では、女は屋根に登ってはいけない、女は銃に触ってはいけない、などさまざなま迷信があった。
「女は畑を耕してはいけない」というのもその一つである。女性が畑を耕す道具である"鋤"に触れることは縁起が悪いことだと言われていた。しかし、兄たちが家に不在で、畑で働く家族がいないとき、ウシャは父親の許可を得て鋤を手にしたのである。

彼女が道沿いの畑で鋤を持って耕していると、村の男たちが見に来てウシャをからかった。そんなとき、ウシャは泥のかたまりを手に男たちを追いかけていき、投げつけたものだった。
(つづく)

【連載】 ネパール マオイスト・女性ゲリラたちの肖像

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