北朝鮮による砲撃事件を受けて、菅直人首相は朝鮮学校の授業料無償化措置を「プロセスを停止してほしい」と指示を出した。また、この人の「ふらつき」が出たわけで、呆れてしまった。「教育内容は問わない」という文科省の判断は何だったのかと思う。
北朝鮮による砲撃があった同じ日、朝鮮総連は、中央の幹部と全国の朝鮮学校の教育関係者を集めた会議を開いていた。その場で、平壌からの指示内容が伝達されたという。
それは、「授業料無償化の条件」として、教科書の内容を変える、金父子の肖像画を下ろすなどが出された場合は、断固として受け入れるべからず。その場合は無償化申請を取り下げよ、というものだっという。
要するに、「金日成、金正日への崇拝教育をやめることは、たとえ授業料無償化を放棄することになってもまかりならん」ということだ。
このような指示が、本国から総連中央に来ているという情報は、11月に入った時点で筆者の耳にも入って来ていた。
授業料無償化適用を求めて、総連は全国で朝鮮学校の生徒と保護者を動員して、大々的なキャンペーンを展開してきた。日本人の側からも支持する声が強くあり、国会議員会館内などで多くの集会が持たれた。
このような流れに土壇場で水を差すような、運動の梯子を外すような指示が平壌から下された場合、教育関係者から相当な反発が出るのは間違いない。総連離れが一層加速化するのは避けられないだろう、筆者はそう見ていた。
平壌が在日の教育にこのように強硬に「介入」しようとする背景には、金正恩氏への世襲後継問題がある。正恩氏への後継をつつがなく進めることが、現在、北朝鮮国内政治の最優先課題になっているのだ。
次のページ:何の実績もない若造の正恩氏は...