13日付けの日刊紙カンティプールなど複数の新聞によると、ネパールの元皇太子パラス・シャハが11日夜、チタワン国立公園内にある高級リゾートホテル"タイガートップス"で、現副首相の娘婿ルベル・チャウダリに発砲をした。
シャハとチャウダリはそれぞれの家族と友人を連れて同ホテルに滞在していたが、2人はホテルのバーで話をしている最中に政治に関する話に及び口論になったという。
日刊紙ナガリクによると、シャハはチャウダリをホテルの外に連れ出して「共和制をもたらした人をすべて始末する」といってピストルを取り出し、発砲をした。弾は誰にもあたらなかったが、チャウダリとその家族はこの後、別のホテルに移動したという。
バングラデシュ人であるチャウダリは、今年3月に亡くなったネパール会議派の前党首で何度も首相を務めたギリジャ・プラサド・コイララの一人娘、スジャータ・コイララ外務大臣・副首相の娘婿である。
ネパールは2008年5月に正式に王制を廃止して共和制を導入した。
、カンティプル紙などによると、最後の国王となったギャネンドラ・シャハの一人息子であるシャハは、当時首相を務めていたギリジャ・プラサドのせいで、王制がなくなったと公言していたという。
シャハ元皇太子は日刊紙ナガリクに出した声明のなかで、自身が発砲したことを認めている。
声明によると、シャハは
「同ホテルのレストランにいたときにバングラデシュ人一人とインド人一人が話しかけてきた。私が果たした過去の役割、そして私が代表する機関について勝手なことを言って挑発を始めた。彼らを静めようとしたが、彼らはますます私の家族とネパールに対して憎悪のこもった言葉を使いだした。そのため、私はレストランの外に行ったが、自身と自分の国に対する侮辱に耐えることができずに、所持していたピストルを撃った」
と、発砲した理由を明らかにしている。
「特定の誰かに向けて撃ったわけではない」と、相手を傷つける意図がなかったことにも声明のなかで触れている。(カトマンズ 小倉清子)