リゾートホテルで違法に所持していたピストルを発砲をしたとして、14日逮捕されたパラス・シャハ元皇太子が16日、1万ルピー(約12000円)の保釈金を払って釈放された。
シャハ元皇太子は11日夜、滞在していたチタワン国立公園内にあるタイガートップス・ジャングルロッジで、コイララ外務大臣の娘婿でバングラデシュ人のルベル・チャウダリ氏と口論をしたあとに発砲したことを、13日付けの日刊紙ナガリクに送った声明文のなかで認めていた。
チャウダリ氏は14日付けの同紙へのインタビューのなかで、口論の原因は2008年に廃止された王制に関連したことであったことを明らかにしていた。
コイララ外務大臣が属するネパール会議派などから「元皇太子を逮捕すべき」という強い圧力がかかるなか、ネパール警察は14日、シャハ元皇太子を滞在先のポカラにあるホテルで逮捕した。
警察はシャハ元皇太子をチタワン郡警察署に連行して聴取したが、16日付けの日刊紙ナガリクによると、元皇太子は銃を所持していたことも発砲したことも否定した。同紙は12日に元皇太子からの声明文が元国王の私邸にあるファックスから送られたことを確認しており、元皇太子が虚偽の証言をした可能性を示唆している。
16日付けの日刊紙カンティプルによると、警察は当初、チャウダリ氏への殺人未遂容疑でシャハ元皇太子を起訴する書類を提出したが、その後、この容疑を削除して、ずっと軽い罪である公的侮辱罪に変更した。
一方、被害者であるチャウダリ氏の警察に対する"不審な態度"も、ネパール・メディアに疑いを生んでいる。チャウダリ氏は警察署への出頭を拒否し、カトマンズ市内にある自宅で警察の聴取に応じた。
16日付けの日刊紙カンティプルは一面で「ルベルも問題ある活動に」というタイトルの記事を掲載して、チャウダリ氏がコイララ家の権威を利用して、さまざまな違法な事業に関わっていることを暴露している。
同紙によると、ネパール警察の部隊をスーダンにおける国連PKOのミッションに派遣したさい、装備の購買に関した汚職にチャウダリ氏がかかわっていた。しかし、義理の母親であるスジャータ・コイララ外務大臣が、調査をしていた公権濫用調査委員会に圧力をかけたために、現在まで罰せられずにいる。
〔カトマンズ 小倉清子〕