○「太陽政策」は失敗だったのか
韓国統一部が11月17日に公開した「統一白書2010」の基調部分には、「過去10年間の南北関係は外形的な成長にも関わらず、質的な面とその進行過程についての国民的な批判があったなか、北朝鮮が核開発を続けることにより、逆に北朝鮮に対する国民の憂慮が高まった」と記されている。
また、「過去、多くの北朝鮮への支援や交流の拡大にも関わらず、北朝鮮の経済難は解決されず、住民の生活の質も全く改善されることはなかった」との記述もある。これは経済交流の拡大が金正日政権の態度、そして住民の生活水準のいずれにも、いかなる前向きな変化をももたらすには至らなかった、つまり「太陽政策」は失敗であった、という現在の李明博(イ・ミョンバク)政権なりの総括だといっていい。
確かに多くの専門家、そして昨今、韓国でその存在が注目されている「インテリ脱北者」(北朝鮮にいた当時、社会の実情に幅広く触れることのできた人たち。大学教授、博士号所持者、企業所幹部、労働党幹部など)が主張する通り、金正日政権の核政策が変化しなかったという観点では、太陽政策は失敗だったといえる。
だからといって、経済交流や支援に代表される、過去の太陽政策が北朝鮮と構築した関係のすべてを切り捨ててしまってもよいのだろうか。もう少し丁寧に北朝鮮内部に起きた変化を追ったあと、太陽政策の是非を問う必要があるのではないか。
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