12月に入って、北朝鮮国内で、コメやトウモロコシなどの食糧だけでなく、ガソリンや日用品の価格が四割から五割も上昇していることがわかった。北朝鮮内部で取材活動をする金東哲(キム・ドンチョル)記者らが、電話で伝えてきた。
平安北道に住む金記者が、今月6日から11日の間に電話で伝えてきたところによると、北朝鮮による延坪島砲撃のあった11月23日から一週間ほどは、さしたる物価上昇は認めらなかった。白米が900ウォン、トウモロコシは320ウォン、ガソリン1500ウォン(全て1キログラム当たりの価格、以下同)、米ドルは1ドル1500ウォン、中国元は1元が225ウォン程だったという(ヤミ両替でのレート)。
ところが、12月に入ってから米ドル、中国元が上昇するのに伴って諸物価もうなぎ上りに高騰し始めた。11日には、1ドル2000ウォン、中国1元は300ウォンになり、白米1300ウォン、トウモロコシ400ウォン、ガソリンも2000ウォンに上昇した。
突然の外貨上昇の原因について金記者は
「政府が大量のドル集めに走っているとか、昨年に続いてまたデノミ措置(通貨ウォンを100分1に切り下げた)をやるらしいという噂が流れているが、はっきりした原因は分からない」
いう。
他地域の取材協力者たちも、ほぼ同程度の物価上昇を伝えてきており、北朝鮮全体でハイパーインフレの兆しがあるものと思われる。
北朝鮮内の物価上昇については、韓国の脱北者団体「NK知識人連帯」も、13日に消息筋の話として50%程度急騰したと伝えている。
「物価がどんどん上がるので、朝鮮ウォンに対しての疑心が広がり、市場の取引もすっかり低調になった。ますます庶民の暮らしは苦しくなっている」
と金記者は結んだ。(石丸次郎)