軍を訪問する時もそうです。栄養失調にかかった兵士がいるなんておくびにも出しません。私たちはこのようにして行われる将軍様の現地指導の姿がテレビで派手に流れるたびに、『これでは人民の暮らしが分かるはずはない、茶番だ』と言い合っています。本当に知りたければ事前通告無しに現地を訪問して、どこの家のドアでも開けてみればいいのに」
と辛辣に語った。さらに
「二代目(金正日総書記)だってそうなのに、三代目(正恩氏)はもっとひどくなるに決まっています。『これまで贅沢な暮らししかしてこなかった、腹の出た20代の若造に、庶民の暮らしの何が分かるものか、正しい政治を行えるわけがない、何も期待するものはない』と人々は言い合っています」
と付け加えた。

同じく咸鏡北道に住むアジアプレスのイム・チョミ通信員は、12月に入ってからの電話で、北朝鮮内部の声について、
「金正恩が『金正日将軍の安全のためならば、たとえ千万の金を使った建物であろうと、取り除かなくてはならない』指示したそうです。その話を聞いた人々は、『こんな貧乏な国で何を勘違いしているのか。あれ(金正恩)は親父よりもっとひどいんじゃないのか。あれの下では未来が無い』などと話しています」
と伝えてきた。

北朝鮮の庶民は、昨年11月30日に政府が断行したデノミ措置(通貨ウォンを100分の1に切り下げ)による極度の経済混乱の影響からいまだ抜け出すことができず、ぎりぎりの生活が続いている。

12月に入ってからは物価高騰が続いており、先行きに不安を感じている人が多いという。
金正恩氏の「公式デビュー」から2か月半が経ち、生活難に対する不満の矛先が金正恩氏に向き始めているものと思われる。
(延吉=パク・ヨンミン 整理・李鎮洙)

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