イラクであいついでいるキリスト教徒を狙った襲撃事件をうけて、ローマ法王庁はイラク・クルディスタン地域に特使を派遣し、キリスト教徒への保護と理解を地域政府高官らに求めた。
ローマ法王庁のジョルジオ・リングア司教は今月25日からイラク北部のアルビルを訪問、クルディスタン地域政府のマスード・バルザニ大統領、バハラム・サリー首相らと会談した。
司教はイラク国内のキリスト教徒たちがイスラム武装勢力から攻撃を受けている現状を詳しく説明するとともに、アルビルでの避難民の受け入れを評価した。地域政府は司教に対し、キリスト教徒避難民への住居提供や子供の就学支援などを約束した。
アルビルに3日間にわたり滞在した司教は、アルビル市内にあるイラク最大のキリスト教徒コミュニティーのひとつ、アンカワ地区にある教会も訪れ、市民数百人の歓迎を受けた。
2003年のイラク戦争以降、イラクではイスラム武装勢力によるキリスト教徒への攻撃があいついでいる。昨年10月末には首都バグダッドで、武装組織イラク・イスラム国のメンバーが教会を襲撃し、信者50人以上が死亡する事件が発生した。その後、治安が比較的安定しているクルディスタン地域のアルビルに避難するキリスト教徒が再び急増している。