クラウン村。村から離れた畑で一日働き、村に戻ってきた。背中には燃料の薪を担いでいる。
クラウン村。村から離れた畑で一日働き、村に戻ってきた。背中には燃料の薪を担いでいる。

 

そこで、「どうぞ」と差し出されたのは、乳であった。プータオを出てこれまで、ラワン人の村を七つほど訪れたのだが、どこの村でも喉の渇きを潤すのに出されたのはお茶であった。だが、ここはチベット人の村だ。山羊か牛かわからない乳が出てきたのだ。改めて、ここはもうビルマでないことを実感させられる。

ジャウスーさんが、顔役氏になにやらひそひそ話をしている。一瞬、顔役氏の顔が曇り、その内容をウー・テットンに確認する。ジャウスーさんや顔役氏の顔つき、さらにその場の雰囲気からして、あまり芳しい話をしているのではないことは分かる。

おそらくそれは、2ヶ月後に連邦団結発展協会(USDA)メンバーがこの村を訪れることについての話であろう。今回の私のように、9人という人数ではない。70、80名のビルマ人(ラワン人)が大挙してやってくる計画なのだ。そう、USDAは軍政の後押しを受けた民間団体で、「ディペイン事件」を起こすなど、一般民衆を監視し、何かあれば軍の先頭に経って人びとを抑え込んでいる団体である。
つづく
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