【ミャンマー(ビルマ)では、新聞やテレビなど主要メディアは国営のため、国外の民主化デモなどが報じられることはほとんどない。国内の民主化運動に影響を与えることを軍政当局が警戒しているからだ。写真はミャンマー国営放送局(MRTV)のニュース(FILE)】

 

チュニジア政変以降、アラブ諸国各地で民主化を求める民衆デモが発生しているが、ミャンマー(ビルマ)のメディアはこうした動きをいっさい伝えていない。ミャンマーでは、新聞社や放送局など主要メディアはすべて国営で、一部民間の雑誌やタブロイド新聞はあるものの、報道内容はすべて事前に政府当局の検閲を受けている。

同国のメディアがアラブ諸国で広がった民主化要求の動きを伝えない背景には、チュニジア政変など独裁や長期政権に反対して民衆が立ち上がったことが、国内の民主化運動にも影響を与えることを軍事政権が警戒しているためとみられる。
国民の多くは、ラジオのほか、衛星放送を隠れて受信するなどしてBBCやDVB(ビルマ民主の声)など、国外から発信されるビルマ語メディアで国内外のニュースを把握している。

そうしたメディアのひとつでタイからミャンマー関連ニュースを発信する「イラワジ」は、1月27日付の記事で「軍政トップのタンシュエはチュニジア・エジプト情勢について1月14日頃から注視しており、外務省に毎日報告するように繰り返し指示している」と国軍筋の情報として伝えている。

ミャンマーでは昨年11月、20年ぶりの総選挙が実施され軍政の翼賛政党、連邦団結発展党(USDP)が大勝した。民主化運動指導者アウンサンスーチー氏は総選挙実施後に自宅軟禁を解除されたが、同氏が率いる国民民主連盟(NLD)は選挙不参加を決め、政党としての法的資格を失っている。
31日には、昨年の選挙結果に基づき、1988年の軍事クーデター以来23年ぶりに議会が招集される予定で、議員たちは議会が開かれる主要都市に集まり始め、国内では警備が強化されつつある。

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