北朝鮮が南北会談実現のために、昨年11月の砲撃事件について「謝罪意思」を表明する可能性が出てきた。
韓国統一部が20日に明らかにしたところによると、北朝鮮側から送られてきた高位級軍事会談提案の通知文は、金英春(キム・ヨンチュン)人民武力部長の名義。注目されるのは、
「哨戒艦事件と延坪島砲撃戦に対する見解を明らかにし、朝鮮半島の軍事的緊張状態を解消することについて」
との内容が含まれる点だ。
年明けから金正日政権は南北対話の無条件開催を連続して提案してきたが、韓国政府は、昨年3月に発生した天安艦沈没事件と延坪島砲撃事件に対する謝罪と再発防止、非核化に向けた具体的措置を取ることを対話受け入れの条件としてきた。
北朝鮮政府は、天安艦沈没については無関係、延坪島砲撃は緊張を高めた韓国の責任と主張してきた。しかし、ふたつの事件のうち少なくとも延坪島砲撃については、遺憾表明程度はしないと、韓国政府が対話提案を受け入れないことは、北朝鮮当局も当然理解しているはずだ。
韓国政府関係者は21日アジアプレスの取材に対し
「北からは年が明けて以降『とにかく会談をしよう』という申し入れがいくつものルートから来ている。だが、何らかの『謝罪』がない限り対話をしても事態が進むことはないないだろう」
と述べた。
韓国政府は、北朝鮮の対話攻勢に対し、「遺憾表明」を引き出す駆け引きをしていくと見られる。
今後、砲撃事件への謝罪を最低条件にし、北朝鮮が関与そのものを否定している天安艦沈没事件への遺憾表明を求めていくだろう。
(石丸次郎)