第1回 楽浪(ランラン)市場 入り口付近
金正日政権は「首都平壌は発展する革命の首都」という虚構を作るために、外国から訪問者には、常に見栄えの良いところだけを見せてきた。
リ・ジュンら北朝鮮内部の取材チームは平壌に潜入、知られざる北朝鮮の首都の姿を撮影するのに成功した。300万とも言われる人が暮らす平壌、その裏通りには、商売に励みたくましく生きる民衆の姿があった。(取材・撮影:リ・ジュン 2007年8月下旬)
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北朝鮮では2003年4月に、それまで非合法だった市場が合法化された。平壌をはじめ主要都市では、それまで闇市場扱いであったジャンマダンと呼ばれる市場を、当局が管理する「総合市場」に改変した。
「総合市場」はいわば公設市場。平壌では、見栄えにも神経を使って立派な建物を建てて区域ごとに開設した。
公設市場である「総合市場」で商売をするためには、金を払って売り場を確保しなければならない。そのジャンセ(場税)を払えない人々が、人の集まる市場周辺に勝手に店を広げているのである。
・ステンレスの器で冷麺を売る女性たち。このような露天の冷麺屋が現れたのはここ数年のこと。
・公設市場の外では、女性たちが何やら紙切れをかざしてずらりと座っている。廃品や中古品の買い取りをしているという。回収された金属は、主に中国に輸出されていく。高度成長の続く中国では資源需要が旺盛で、古金属をいい値段で買い取ってくれるのである。
この流通網は、当局が政策的に作ったものではなく、市場経済化か進む中で成立したものだ。現金を得るために、この女性たちは、自らの意志で廃品回収市場に労働力を売っているのである。