◇朝鮮中央通信が報道 昨年は4トン弱、武器弾薬の大量密輸も摘発と
2月22日、北朝鮮の朝鮮中央通信は「中国公安部長が国境地域の安全を守ることを強調」と題した記事を配信した。
この記事の中で、中国の公安国境警備隊が昨年、国境地域で麻薬事件2153件を調査・処理して2883名を逮捕、3トン828.75キログラムにも及ぶ大量の麻薬を押収、また、各種の武器2023丁、弾薬5万3000発を押収したことを明らかにした。
北朝鮮から麻薬や覚せい剤、武器弾薬が中国に大量に密輸されているのは公然の秘密であったが、北朝鮮の国営メディアが、中国当局の具体的な数字をあげて、自国の恥とも言える密輸の事実を認めるのは、極めて異例のことだ。
中国の孟建柱公安相は今月13日から15日まで平壌を訪問し、金正日総書記とも会談。朝中当局者のあいだで、国境の安全問題と秩序維持、さらに密輸問題についても深刻な議論があったことを、この記事は示唆している。
朝中国境地帯では、北朝鮮からの脱北難民者問題などともに、15年ほど前から麻薬や覚せい剤、武器弾薬の密輸が深刻化しており、この度の国営メディアでの「公表」は、これらの密輸行為が一向に無くならないことに業を煮やした中国当局が、事態の公然化を強く迫ったものと見られる。(石丸次郎)