第5回 イラク・モスル近郊(バシカ) (写真5枚・地図1枚)
イラク北部のモスル近郊のバシカ。3万人ほどが暮らすといわれるこの町には、スンニ派アラブ人、スンニ派クルド人、キリスト教徒、クルド・ヤズディ教徒が混住する。治安の悪化から外国人が現在この街を訪れるのはほぼ不可能となってしまった。(写真:玉本英子)
[イラクの民族・宗教・宗派分布図] バグダッドなどの大都市部では民族や宗派は混在している。
人口比ではアラブ人シーア派、アラブ人スンニ派、クルド人スンニ派の順。
イラクのキリスト教徒はかつては人口の3~7パーセント前後とされたが、イラク戦争後、武装勢力から標的にされると、イラク北部のクルディスタン地域や国外に避難民となって離散し、数は激減した。現在は50万人を下回るまでになったといわれる。(地図:アジアプレス)
シリア正教会の教会で司祭が見せてくれたのはスリアニ(シリア語)、いわゆるアラム語による聖書。(写真:玉本英子:2004年4月)
一般に、シリア正教は、451年に東ローマ帝国が召集したカルケドン公会議で分かれた潮流から派生したといわれる。(写真:玉本英子:2004年4月)
十字架が据えられたシリア正教会の祭壇。
イラクのキリスト教は、ケルダニ(カルデアン・カトリック)、アスーリ(アッシリアン、ネストリアンなどのアッシリア東方教会系)、シリア正教会系、アルメニア教会系などの潮流に分かれる。(写真:玉本英子:2004年4月)
教会の門扉の十字架。アラビア語で刻まれた文字には「カニサット・アル・スリアン(シリア正教会)」とある。民族のモザイ クをおりなすバシカの町は、古くから宗派、民族が共存してきた。だが、イラク戦争後の混乱の影響をうけ、キリスト教、クルド人、キリスト教徒は外部からの 過激なイスラム武装勢力の攻撃にさらされることになる。(写真:玉本英子:2004年4月)