【連邦創設委員会(CEFU)書記長のナイホンサー氏(63歳)。ミャンマー新政府樹立後に予想される国軍の攻撃に対し、少数民族武装勢力各派は「連邦軍」創設の動きを進めている。ナイホンサー氏の母体組織は、軍事政権と停戦していた新モン州党(NMSP)で、同氏はNMSP書記長でもある。(2011年撮影:赤津陽治】

ミャンマー(ビルマ)の少数民族武装勢力各派は、新政府樹立後に予想される国軍の攻撃に対し、連帯して抵抗していくため、「連邦軍」創設の動きを進めている。
ミャンマーでは1月31日に国会が開幕し、2月中にも新憲法に基づく新政府が樹立される見込みだ。

2008年5月に公布された新憲法の第338条には「国内に存在するすべての武装組織は国軍の指揮下におかれる」と規定されており、これまで軍事政権は、停戦中の少数民族武装組織に対し国境警備隊や地方民兵への編入を迫ってきた。

一部の組織はこれを受け入れたものの、カチン族やワ族、モン族などの主要組織は一貫して拒否。停戦協定は昨年9月1日から無効となっている。
新政府樹立後、施行された憲法の規定に合致するよう、帰順を拒む勢力に対し、国軍が攻撃を開始するとみられている。

これに危機感を持つ少数民族武装勢力各派は、昨年11月よりタイ国境で会合を重ね、国軍の攻撃に対し連帯して抵抗していくために「連邦創設委員会(CEFU)」を組織した。
現在CEFUには、軍事政権と停戦していたカチン独立機構(KIO)や停戦協定を結んでいなかったカレン民族同盟(KNU)など計6組織が参加を決めている。今後は他の少数民族組織も取り込み、一つの命令系統で動く「連邦軍」創設を念頭に協議を進める。

CEFU書記長のナイホンサー氏(63歳)は1月上旬、タイ国境でのインタビューで、「あす国軍の攻撃を受けたとしても、われわれは協力して防衛にあたることですでに合意している。一つの組織が攻撃を受ければ、全体が攻撃を受けたものと捉え、一体となって抵抗していく」と語った。

国軍は2009年8月、20年近く停戦していたシャン州北部のコーカン族組織に軍事力を行使して指導者を排除。軍事政権側の意向に従う別の人物を新指導者に据え、国境警備隊編入を受け入れさせた。
一方、昨年11月には、タイ国境に近いミャワディで、停戦していた民主カレン仏教徒軍(DKBA)第5旅団が、国境警備隊への編入を拒否し、国軍との間で市街戦を展開。タイ国境近くでは、現在も連日戦闘が続いている。(赤津陽治)

★新着記事