ミャンマーの週刊英字新聞「ミャンマー・タイムズ」編集長で最高経営責任者のオーストラリア人ロス・ダンクリー氏が11日、ミャンマー当局に入管法違反で逮捕されたことがわかった。インドを拠点にミャンマー報道を続けるミジマ・ニュースが伝えた。
ミジマ・ニュースの報道によると、ダンクリー氏は11日、ヤンゴンの自宅で逮捕され、現在はインセイン刑務所に拘束されている。地元警察署は氏を逮捕したことを認めており、容疑は入国管理法第13条1項違反という。
「ミャンマー・タイムズ」は、ダンクリー氏が00年、軍情報部高官の子息と共同で創刊。しかし、04年10月に軍情報部トップのキンニュン元首相が失脚し、ミャンマー人共同経営者も禁固14年の刑を受けて投獄された。その後、別のミャンマー人が共同経営者となり、発行は続けられていたが、最近はダンクリー氏と新しい共同経営者との間で、経営の主導権を巡って対立が深まっていたという。
ダンクリー氏は8日午後に東京で講演しており、日本から帰国した後に逮捕された模様。講演を聞いた男性(55歳)によると、ダンクリー氏は「最高経営責任者の地位を共同経営者に譲るよう、情報大臣から圧力をかけられている。1月6日以降ミャンマーのビザが発給されず、もう入国できないかもしれない。しかし、これまでも大きな障害を乗り越えてきたので大丈夫だろう」と語り、楽観的な様子だったという。
入国管理法第13条1項では「入管法の規定やビザの条件に違反し入国した者や滞在する者を6カ月以上5年以下の禁錮または罰金の刑に処す」と規定されている。昨年11月にタイ国境のミャワディで日本人ジャーナリストが一時拘束されたときも、ミャンマー当局は同条項を適用している。【赤津陽治】