◇ハイパーインフレの主原因はウォン下落
アジアプレスの北朝鮮内部の複数の取材パートナーの報告を総合すると、北部の咸鏡北道、平安北道、中部の平安南道、平壌市の1月後半の北朝鮮各地の米価は、若干の地域差と激しい騰落があったものの、白米1キロが概ね2000ウォン~2500ウォン程度で推移していた。
これは、1年あまり前の2009年11月30日にデノミ措置(通貨ウォンを100分の1に切り下げ)が実施された時に決められた国定価格44ウォンのおよそ50倍に当たる。デノミ措置後のインフレがいかに凄まじいものだったかがわかる。
しかし、米価以外の諸物価も50倍前後値上がりしていること、またドルの実勢レートに換算すると米価に大きな変動がないことから、食糧不足によって市場価格が上昇しているのではなく、通貨ウォンの価値下落がインフレの主要因であることは明らかだ。北朝鮮当局がウォン発行量を増やしたのかどうかは、現時点では不明。
北朝鮮では昨年末から物価が急騰、1か月間で軒並み50%上昇して庶民の生活が混乱している。
(石丸次郎)