2009年11月、北朝鮮政府により断行された「貨幣交換(デノミ。通貨ウォンを100分の1に切り下げ)」措置が庶民経済へ与えた打撃は、1年以上が経過した今も癒えていない。写真は平安南道の平城(ピョンソン)市の市場。2010年10月 撮影 金東哲(キム・ドンチョル)(アジアプレス)
2009年11月、北朝鮮政府により断行された「貨幣交換(デノミ。通貨ウォンを100分の1に切り下げ)」措置が庶民経済へ与えた打撃は、1年以上が経過した今も癒えていない。写真は平安南道の平城(ピョンソン)市の市場。2010年10月 撮影 金東哲(キム・ドンチョル)(アジアプレス)

 

◇ハイパーインフレの主原因はウォン下落
アジアプレスの北朝鮮内部の複数の取材パートナーの報告を総合すると、北部の咸鏡北道、平安北道、中部の平安南道、平壌市の1月後半の北朝鮮各地の米価は、若干の地域差と激しい騰落があったものの、白米1キロが概ね2000ウォン~2500ウォン程度で推移していた。

これは、1年あまり前の2009年11月30日にデノミ措置(通貨ウォンを100分の1に切り下げ)が実施された時に決められた国定価格44ウォンのおよそ50倍に当たる。デノミ措置後のインフレがいかに凄まじいものだったかがわかる。

しかし、米価以外の諸物価も50倍前後値上がりしていること、またドルの実勢レートに換算すると米価に大きな変動がないことから、食糧不足によって市場価格が上昇しているのではなく、通貨ウォンの価値下落がインフレの主要因であることは明らかだ。北朝鮮当局がウォン発行量を増やしたのかどうかは、現時点では不明。

北朝鮮では昨年末から物価が急騰、1か月間で軒並み50%上昇して庶民の生活が混乱している。

同じく平城市の市場の様子。2010年10月 撮影 金東哲(キム・ドンチョル)(アジアプレス)
同じく平城市の市場の様子。2010年10月 撮影 金東哲(キム・ドンチョル)(アジアプレス)

(石丸次郎)

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