◇深刻な経済難を反映し例年になく貧弱
16日の金正日総書記の誕生日を控えて、全国各地で祝賀行事に住民が動員されている中、「祝日供給」と呼ばれる金総書記の誕生祝いの特別配給が、例年に比べて量と内容がかなり貧弱なものになっていることが分かった。北朝鮮北部の咸鏡北道茂山(ムサン)郡に住む取材協力者(30代女性)が、13日電話で伝えてきた。
この協力者によると、12日に茂山郡内の託児所、幼稚園、小学校には飴数百グラムが「将軍様の配慮」として配られた。また、一般住民には、14日から末端の行政組織の人民班を通じて酒一本と食用油500グラムが配られると通達があったという。
特別配給は金総書記の誕生日の他、故金日成主席の誕生日、朝鮮労働党の創建記念日などの「祝日」に実施されてきた。かつては、2月16日には子どもに対しては飴やクッキーの詰まった菓子袋、学用品、制服などが、また一般住民には酒や食用油の他、食糧、豚肉、菓子など配られていた。しかし、経済悪化に伴い質も量も次第に悪くなり、今年の特別配給はこの10数年で最も貧弱な内容となったようである。
北朝鮮では、年明けからこれまで優先的に行われてきた軍や炭鉱・鉱山、平壌市などへの食糧配給や電気の供給が大幅に悪化。国際社会には食糧支援を求め始めており、政府の財政状況は相当にひっ迫していると思われる。このため「民族最大の祝日」と位置付ける金総書記の誕生日の特別配給の内容に注目が集まっていた。
アジアプレスでは、北朝鮮内部に中国の携帯電話を送り情報提供を受けている。
(石丸次郎)