第9回 女子中学生に厚底サンダルが流行
社会主義少年団の赤いマフラーを巻いた二人連れの女子中学生は、以前、日本でも流行った'厚底サンダル'を履いている。彼女たちが履き心地の良さより、「ファッション感覚」から、厚底サンダルを選んだのは間違いないだろう。この「ファッション感覚」は、いったいどうやって芽生えたのだろうか? 中国を通じて入ってくる多様な商品と情報が、彼女たちのおしゃれ心を大いに刺激したのである。
(取材・撮影 リ・ジュン 平壌 楽浪地区 船橋地区 01分45秒)
金正日政権は「首都平壌は発展する革命の首都」という虚構を作るために、外国から訪問者には、常に見栄えの良いところだけを見せてきた。
リ・ジュンら北朝鮮内部の取材チームは平壌に潜入、知られざる北朝鮮の首都の姿を撮影するのに成功した。300万とも言われる人が暮らす平壌、その裏通りには、商売に励みたくましく生きる民衆の姿があった。
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動画 (01分45秒) (C)ASIAPRESS
金正日政権は「首都平壌は発展する革命の首都」という虚構を作るために、外国から訪問者には、常に見栄えの良いところだけを見せてきた。リ・ジュンら北朝鮮内部の取材チームは平壌に潜入、知られざる北朝鮮の首都の姿を撮影するのに成功した。300万とも言われる人が暮らす平壌、その裏通りには、商売に励みたくましく生きる民衆の姿があった。
赤ん坊を「だっこ紐」で胸に抱く女性。朝鮮文化では、亀の甲やねんねこでおぶるのが普通である。「だっこ紐」は日本からの帰国者が持ち込んだといわれる。
以前、日本の女子高校生の間でも流行した厚底サンダルが、北朝鮮の若い女性でも流行。「トンバル」(ぼて靴)と呼ばれている。
以下は、2007年秋に中国に越境してきたリ・オギョン(仮名)さん 18歳(女性)に、若者の流行について聞いた内容。
Q:どんな服を着てたの?
A:冬服も中国から入ってくるものを着ます。この頃は丈の長いのも着るようになりましたし、羽毛のものもあります。あと、帽子に毛皮がついてるやつ もあるし。冬に《ヒューズ》(《シューズ》が訛った言葉。スニーカーのこと)を履いてる子もいます。前に中国製の底が厚いやつで茶色いのが流行ってまし た。みんなこぞって履くもんだから、あっちでもこっちでもおんなじ靴履いて歩いてました。
Q:厚底靴はなんと呼ばれているの?
A:トンバル(ぼて靴)。
Q:どうして? 見かけがぼってりしてるから?
A:見た目はぼってりしてて、足先が冷たくないように見えるんだけど、足は冷たいです......。男たちの間では軍靴が流行ってました。中国製のまっ黒なやつ。なんていうか、傀儡軍(韓国軍のこと)が履いてたような、上の方まで紐が来るヤツです。
でも、かっこいい靴が欲しいと思っても売ってないんです。 あと、誰かが、中国製の目新しい靴を履いてるのを見ると、他の男の子もみんな真似して同じような《ヒューズ》履いて。
それと、夏場には学生は、一〇センチ以上の厚底の靴は履けないんです。みんな三、四センチのヒールを履くようにって。靴の先が尖ったものは履くなと。
Q:ハイヒールのことは朝鮮ではなんていうの?
A:ペットク(とんがり)。
Q:そういうのは、三、四センチまでのものしか履けない決まりになってるの?
A:学生はダメなんです。一般の女性は履いてもかまわないんだけど。それも全て中国製です。中国製じゃないものなんてどこ探してもないくらい。
(取材:キム・ヘギョン、リュウ・ギョンウォン、石丸次郎)