北朝鮮国内で、「ジョンウン」という名前の人に名前を変えさせるよう指示が出ていると、アジアプレスの取材パートナーで北朝鮮内部情報を伝える雑誌「リムジンガン」の記者・李美英(リ・ミヨン)氏が、2日に電話で伝えてきた。
李記者によると、2月10日前後に各職場や組織ごとに、党の会議の場で金正日総書記の三男で次期後継者に内定している金正恩氏と同じ「ジョンウン」という名前を持つ人に、党として改名させるよう指示が出されたという。
この指示によって、李記者が取材した党幹部の知り合いで、平安南道の新成川(シンソンチョン)駅前に住む「リ・ジョンウン」という男性が、「リ・ジョンホ」と改名したと李記者は伝えて来た。
唯一指導体系を国是とする北朝鮮では、指導者と同名を名乗ることは許されないとされる。この度党機関によって改名指示が出されたことは、金正恩氏への後継作業が、軍や党の高い地位に就かせることに留まらず、「唯一の指導者」を継承させる作業が本格化していることを推測させる。
北朝鮮では、1974年に金総書記が後継者に内定した時も、「正日(ジョンイル)」という名前の人は改名を強要された。日本でも当時、朝鮮総連が「正日」という名前を持つ在日朝鮮人に改名を求めたと言われる。
(石丸次郎)