日本に暮らすミャンマー(ビルマ)人難民が9日、岩手県陸前高田市の避難所を訪れ、ミャンマー料理の炊き出しをおこなった。
訪問したのは、東京で母国の民主化運動を続けるミャンマー人難民ら12人。水やプロパンガス、調理器具などすべて自前で用意し、トラックで10時間かけて陸前高田市矢作町の避難所を訪問した。ミャンマー風チキンカレーなどのミャンマー料理300人分を調理し、被災者にふるまった。久しぶりの肉料理に喜び、お代わりする子どももいたという。
炊き出しグループのひとりマイチョーウーさん(44歳)は、「これまで日本人や日本政府に助けてもらってきた。地震発生直後から、被災した日本の人たちのために何か役に立ちたいと思っていた。今回温かい料理を食べてもらうことができて嬉しい」と語った。
炊き出し訪問は、在日ミャンマー人難民を支援してきたNGOと陸前高田市の避難所でボランティアとして働く青年との縁で実現。当初、約40人のミャンマー人難民が訪問を希望したが、移動手段の制限から今回は12人が訪問することになった。
マイチョーウーさんたちは、避難所の被災者と交流した後、津波の被害を受けた同市海岸部を訪れた。破壊し尽くされた町の光景にがく然とし、言葉を失った。
「テレビではたくましく頑張ろうとする被災者の姿ばかりが映し出されていたが、多くの人はつらそうで沈痛な面持ちだった。津波に家を流され、家族を流され、すべてを失った人たちの心の傷はとても深いと感じた」
帰京した10日には、在日ミャンマー人難民らによる震災犠牲者のための追悼集会が都内で開かれ、義援金約140万円が集まった。
4月下旬に再び現地を訪れ、炊き出しのほかにがれきの撤去や精神的な面での支援をおこなう予定だ。
一方で、先月母国ミャンマーで起きた地震の被災者支援も進められている。
タイ国境に近いシャン州東部で3月24日、マグニチュード6.8の地震が発生。75人以上が死亡し、約18,000人が被災した。現在、被災地ではトタン屋根と飲み水が特に不足しているとみられ、在日ミャンマー人難民たちは、義援金を呼びかけるなど、母国の被災地支援にも乗り出している。【赤津陽治】