ルクム郡チャウリジャハリの集会で村人に紹介された同郡人民政府のメンバーたち。(2003年3月4日 撮影 小倉清子)
ルクム郡チャウリジャハリの集会で村人に紹介された同郡人民政府のメンバーたち。(2003年3月4日 撮影 小倉清子)

ようやく、タバン村へ向かうためにチャウリジャハリを出たのは3月5日のことだった。カトマンズを出てから8日たっていた。カトマンズから同行してきたマオイストとはここで別れ、私は新しく樹立された人民政府のメンバーであるマオイストとともに東に向かうことになった。

朝7時すぎ、タバン村出身のリーダーであるサントス・ブラ・マガールが私たちを見送ってくれた。タバン村に入る許可証となる手紙も書いてくれた。別れ際に、サントスは「あなたの足では、タバン村まで4日はかかるでしょう。この杖をもっていきなさい」と、鳥の木彫りの柄がついた緑色の杖を私に渡そうとした。あまりにも見事な彫りの入った杖で、もらうには気が引けたために、私はその申し出を断って歩き出した。

私たちはジャジャルコット郡との境界になっているベリ川沿いに北上し、その後、右に折れて、サノベリ川沿いに東に向かった。山の登り降りはそれほどないが、最初の日に12時間、2日目にも10時間以上歩いてルクムコット村に着いた。

ルクム郡ルクムコット村から西のサノベリ川を望む。(2003年3月7日 撮影 小倉清子)
ルクム郡ルクムコット村から西のサノベリ川を望む。(2003年3月7日 撮影 小倉清子)

この村から目的地であるタバン村までは歩いて6,7時間の距離だったが、ルクムコットに行く途中、私は川の雪解け水を飲んで扁桃腺炎を起こしてしまい、休養をとるためにこの村で2泊することになった。最悪の体調のなか、タバン村に向けて出発したのは3月8日のことだった。カトマンズを出てから、すでに10日たっていた。
(つづく)


【連載】 ネパール マオイスト・女性ゲリラたちの肖像

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