◇生活困窮の原因は現金収入の減少
経済難にあえぐ北朝鮮の庶民は、日々どんなものを食べているのだろうか? 内部の取材協力者から写真が送られてきた。
北朝鮮庶民が長く主食にして来たのは、「カンネご飯」と呼ばれるトウモロコシ米だ。トウモロコシを米粒ほどの大きさに砕いて炊く。もちろん、本来朝鮮民族の主食は米なのだが、市場での価格がトウモロコシの二倍ほどするので、庶民には少し贅沢なようである。
3月末時点の北部咸鏡北道の価格は、白米が1850ウォン、トウモロコシは700ウォンである(1キロの値段、実勢レートで100円は3600ウォン)。
中央の写真は、この「カンネ」と白米を混ぜて炊いたもので、「5対5ご飯」と呼ばれている。2005年前後は、この「5対5ご飯」を三食食べるのが平均であったが、その後、政府の商売行為への統制が強められた上、2009年に行われたデノミ措置によって経済混乱が深まり、庶民の現金収入は大幅に減ってしまった。写真の「5対5ご飯」は現在の庶民の水準からすると「高級」であるという。
北朝鮮内部の取材パートナーの金東哲(キム・ドンチョル)記者は
「一食を『カンネご飯』、あとはトウモロコシ粉で作った麺か、粥をすするのが平均的だ。貧困層は一日二食を「カンネ」の粥ですませている」
と語る。
生活レベルが悪化している理由について金記者は
「軍隊ですら『カンネご飯』少しと塩しか与えられていない有様で、炭鉱や軍需工場を除いて、食糧配給なんてほとんどない。でも、市場には米も肉もたくさん売られている。庶民は商売をやっても一日に1000ウォン程しかならず高くて手が出ない。現金収入が減ったことが暮らしの悪化の原因だ」という。
【石丸次郎】