バグダッドで一番美味しい」といわれる"ラブリー"という意味の魚専門店「ムハバ」に向かった。バグダッドでも治安のいい場所にある。(4月30日:撮影玉本英子)

 

玉本英子 現場日誌
4月30日 バグダッド - 魚レストランで
魚料理店に取材に行った。バグダッドでいちばん有名な店だ。
イラクはアラブ料理だけでなく、西洋料理も融合して、食は豪華。街角のレストランに行っても、テーブルに前菜が山ほど並ぶ。
ところが、治安悪化で多くのレストランは営業できなかった。腕のいい料理人も家族とともに他都市に逃れたりして、有名レストランは壊滅状態だった。だが、この店は治安が他地区よりはまだなんとか保てた場所にあったため、店を開けることができた。
魚はチグリス川で取れたものと養殖がある。プラスティックのテーブルとイスが50席くらいあるきわめてシンプルな店だ。イラクでは水曜に魚を食べると縁起がよいといわれる。この日も客足は絶えなかったが、水曜日になると通常の2倍のお客さんが来るという。
味はふんわり、日本の魚よりジューシーだ。レモンと塩をふりかけるだけで十分いける。鯉独特の生臭さはまったくなく、焼きたてのパリパリのナンにはさんで食べるととまらない。
治安は回復してきたが、まだ爆弾事件はおきているのも現実。レストランがいっぱい立ち並んで、家族連れでにぎわうような日がくることを願う。 【バグダッド・玉本英子】

店には水槽があり、泳いでいる魚を選び、網ですくってもらう。
オーナーのナシャット・ラティフさん(52 写真)に大人8人前として2キロの鯉を2匹選んでもらった。魚は市内の魚市場で仕入れてくるが、多くが養殖だという。「治安の悪い時もうちの店だけは客が減ることがなかった。美味しいものにはみんな目がないから」とナシャットさんは言う。(撮影:玉本英子)
店員さんが鯉の頭をこん棒でなぐり、失神させる。すぐに小さなナイフでウロコを取り、背開きにして内臓をかきだした。お腹から開くと内臓の血が魚の体にまわり、臭いが出るので、必ず背開きにするという。(撮影:玉本英子)
背開きで開いたまま、炭火の釜に入れて、じっくり30分焼く。途中、スパイスの入った味付けソースをふりかけていた。(撮影:玉本英子)
できあがり。2匹で9万ディナール(8000円)。一般庶民には手の出にくい値段だが、お客さんが途絶えることはなかった。イラクでは水曜日に魚を食べると縁起がいいといわれる。テイクアウトもあり、水曜日には通常の2倍の30匹から40匹のマスクーフが売れるという。(撮影:玉本英子)
焼きたて鯉を熱々のまま、みんなで手づかみで食べる。レモンと塩をふりかける。柔らかい肉は、ほろほろと口の中でとけるような感じだ。日本の魚よりジューシー。(撮影:玉本英子)

 

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